◯野生復帰したコウノトリが教える地域環境づくり
かつて日本の空を羽ばたいたコウノトリ。つがいが添い遂げることから、幸福や子宝のシンボルとされる。主な餌は両生類・昆虫など水生生物であることから、稲作が行われてきた日本、なかでも湿田が一面にひろがる豊岡盆地は最適な越冬地であった。
しかし、農業や街の近代化が進むなかで、農薬による環境汚染や餌場の喪失により、日本の野生のコウノトリは1971年に絶滅した。一方で、研究者によるロシアから寄贈された6羽の幼鳥の人工飼育・繁殖と併せ、農業者有志による減農薬・無農薬農業の取り組み、行政による水路や河川の生物生息環境の改善など地域が一体となった取り組みが進められた。地域の小学生達も、無農薬米の消費拡大に向けた活動を行った。
その結果、2005年には念願のコウノトリ野生復帰が成し遂げられ、今では兵庫以外の地域にも飛来し、繁殖地を日本各地に広げている。本プログラムでは、この一連の出来事を深く学ぶことができる。