大阪・関西万博の舞台である夢洲だけでなく、関西には魅力いっぱいのみどころがたくさんあります。その一方で、今はSNSの時代。定番のガイドブックに頼ることなく自ら情報を集め、知られざる魅力的なエリアやスポットを訪れる若者が増えています。そんなZ世代の若者が旅に求めるものとおすすめの観光エリアについて、大学で地域のコミュニティや経済、観光の在り方について学ぶ学生に話を聞きました。

旅のきっかけを「SNSで見つけた」が当たり前の時代に

今回話を聞いたのは、奈良県立大学地域創造学部で学ぶ3回生の学生3名。授業の一環で地域でのフィールドワークを行うほか、プライベートでもさまざまな地域に足を運んでいます。また、2024年11月に「関西広域連合協議会 大学生等との意見交換会」に参加。都市部に観光客が集中するオーバーツーリズムの緩和や地域の活性化につながる提言を行いました。

(左)貞森涼花さん (中)千桐梨々花さん (右)足立優羽さん

 

観光と言えば、ガイドブックを読んだり、インターネットで情報を探したりして旅先を決めることが一般的ですよね。

足立さん確かにベースとなるエリアの知識は書籍やインターネットの情報かもしれません。ただ、私たちの世代で言えばSNS、特にInstagramなどをチェックして、行き先を決めることがほとんどです。

貞森さんこんな写真が撮れるなら、私も行って撮ってみたい、みんなにも知らせたい…という気持ちでしょうか。SNSが浸透した今、もちろん有名スポットの写真もアップされますが、まだ注目されてない穴場スポットや地元の人だけが知っている隠れた名所など、より地域の魅力にフォーカスした写真のアップも増えたように思います。旅のきっかけが「SNSで見つけたこの場所」になることが多いですね。

そんななか、みなさんは自然スポットの魅力発信を意見交換会での提言に盛り込んでいましたよね。

千桐さん今、私たちの世代では「〜界隈」という表現をよく使いますが、そのなかで「自然界隈」という言葉があります。簡単に言えば、高原・川・山などの自然スポット、またそれを好む人たちのことで、自然の中で撮影した写真や動画のスタイルも自然界隈と呼んだりします。アウトドアの要素をミックスした服装コーディネートも自然界隈ファッションと呼ばれ、注目を集めています。「#自然界隈」をつけたInstagramの投稿は本当に多いんですよ。

足立さんそんな「#自然界隈」で見つけたSNSの写真を見て、実際に行ってみると、本当に非日常が体験できて、リフレッシュできるんです。自然に囲まれてせわしない日常から解放される感覚が私は大好きです。

貞森さんコロナ禍での外出制限がありましたが、人が多いところで人疲れするよりも、自然スポットでのんびりしたい…という気持ちもありますよね。また、自然スポットに出かけるのは、商業施設やテーマパークで遊ぶよりもコストが格安。学生の私たちにとって、これも大事なポイントです。

千桐さんそんな自然界隈がこれからの観光テーマの一つになってもいいのではと考えました。自然スポットの多くは地方です。そこに人が流れることで、都市部のオーバーツーリズムの緩和や地域の活性化にも貢献できることを意見交換会で提言しました。

今もいろんな自然スポットを訪れているんですか?

足立さんゼミではフィールドワークで地域の活性化につながるような取り組みにも参加しています。知られざる地域の魅力はまだまだたくさんあります。いろんな自然スポットを訪れて、新しい魅力をSNSで発信したいと思います。

貞森さん提言ではWEBサイトやアプリを使って自然スポットをラリー的にめぐるような企画を考えました。まだアイデア段階ではありますが、カタチにできるような機会があれば、ぜひ挑戦したいですね。

千桐さん若者の視点だからこそ、見えてくる切り口があるように思います。「自然界隈」のようなテーマが、旅の新しい魅力になったり、地域の活性化につながればいいなと思います。

奈良県内のおすすめエリアをピックアップ!

ここからは3名がおすすめする奈良県内のおすすめエリアを紹介します。

 

\足立さんおすすめ/

 

天川村

足立さん奈良県南部にある天川村(てんかわむら)は、大峯山脈や清流・名瀑が美しい自然景観を生み出しているエリアです。私がはじめて天川村を訪れたのは、「天の川もみじまつり」で屋台出店する友人に誘われて。「みたらし渓谷」の風景の美しさは驚くほどでしたし、催事を通して天川村の方々の温かさにもふれることができました。また、天川村には修験道とも深い関わりがある「洞川温泉」があります。昔の風情を今に残す建物や提灯が幻想的で、映画『千と千尋の神隠し』のような世界が広がっています。この風景にも心を動かされました。知人は修験道の一つ、滝行の体験もしていましたよ。

奈良県 天川村公式サイト
奈良県 天川村公式サイトへ

 

\貞森さんおすすめ/


曽爾高原

貞森さん奈良県と三重県の県境近く、曽爾村(そにむら)にある曽爾高原は、日本三百名山の一つ、俱留尊山(くろそやま)から亀山までを結ぶ西麓に広がる高原地帯です。毎年2月中頃に山焼きが行われ、春から夏にかけては青々とした緑一面の絨毯を広げたような風景が見られる一方、秋になると高原一帯を覆うようにススキの絶景が広がります。例えるなら、映画『風の谷のナウシカ』。特に夕暮れ時、ススキの穂が金色に輝く時間帯がおすすめで、「ここは日本ではない!?」と思うような、びっくりするほどキレイな写真が撮れます。SNS用に私もいっぱい写真を撮りました。奈良市内から車で約1時間30分。少し時間はかかりますが、行くだけの価値はありますよ。

曽爾高原
曽爾村観光協会 webサイトへ

 

\千桐さんおすすめ/


奈良市田原地区

千桐さん奈良市の中心部から車で約15分。田原地区は日本人の心のふるさとと言えるような、昔ながらの里山の風景が広がっています。私が大学で「農業部」というサークルに入っていて、田原地区の農作業ボランティアで訪れたのがはじめてでした。シンボルになるような観光スポットがあるわけではありませんが、都心部からこれほど近い場所にありながら、田園や茶畑、民家が織りなす風景はまるで映画『となりのトトロ』の世界。映画のロケ地にもなっているほどです。ボランティアでは農家の方々の温かさにもふれました。農作業後にいただいた野菜はおいしかったですね。あと、今も忘れられないのが、夏の納涼盆踊りで行われる花火大会。里山の夜空に打ち上がる花火は本当にキレイです。

奈良市田原地区
奈良市田原地区 webサイトへ

まだまだある!関西のおすすめ自然スポット&テーマ旅

奈良県内だけでなく、関西にエリアを広げ、おすすめの自然スポットや旅のテーマを挙げてもらいました。大阪・関西万博を楽しんだ後に訪れてみては?

 

\足立さんイチ推し/


ヤッホーポイント(和歌山県・日高川町)

足立さんみなさんも一度は山の頂上で「ヤッホー!」と叫んで、やまびこを楽しんだことがあるのでは? 日高川町美山地区の椿山ダム湖の湖畔にあるヤッホーポイントは、その名の通り、驚くほどキレイにやまびこが返ってくる場所。「ヤッホー!」と長く叫んでしまうと、叫んでいる間にやまびこが返ってきてしまうので、「ヤホッ」と短く叫ぶといい感じにやまびこが聞こえます。やまびこの聞こえ具合や叫ぶ内容、パフォーマンスなどを審査基準としたヤッホー全日本選手権も開催しているんですよ。

ヤッホーポイント
日高川町観光協会Webサイトへ

 

\貞森さんイチ推し/


千里川土手(大阪府・豊中市)

貞森さん私のおすすめは、大阪国際空港(伊丹空港)の南端に接する千里川土手。ここでは着陸目前の飛行機が真上を間近に飛ぶ様子を見ることができます。空港の展望デッキとは違い、音や風もあって大迫力。まさに飛行機撮影の聖地です!週末はカメラを持って訪れる人も多いですよ。飛行機はすぐ近くを飛ぶので、特別な撮影機材がなくてもOK。スマホでも写真や動画が撮影できます。最寄りの阪急曽根駅から徒歩20分。駅そばにあるレンタサイクルで自転車を借りるのもおすすめです。

飛行機が間近に見える魅力スポット「千里川土手」
豊中市 webサイトへ

 

\千桐さんイチ推し/


木津川市パンめぐり(京都府・木津川市)

千桐さん総務省統計局の資料によると、パンの消費量ランキングでは京都市が第1位。和食のイメージがある京都ですが、意外にもパン好きな人が多いまちです。そんな京都市からぐっと南へ、奈良県との県境に位置する京都府木津川市も、実は市内に20軒以上のパン屋さんがあるパンの町。食パンから菓子パン、ハード系、サンドイッチ、デニッシュまで、どのお店も個性豊か。木津川市観光協会が発行するパンめぐりMAPもあるんですよ。自然スポットや歴史スポットいっぱいの木津川市を訪れるなら、パン屋もいっぱいめぐって、お気に入りを見つけてみてください。

木津川市パンめぐり
一般社団法人 木津川市観光協会 webサイトへ

NEXT

BACK TO LIST

PREV